皆さま!こんにちは。岡山眼鏡店Blogでございます。いつも私どもブログをご覧くださり、誠にありがとうございます。初めてご覧いただきました皆さまには、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
今回のブログでは、2月中旬に行ってまいりましたドイツの光学メーカーであるカールツァイス(以後ZEISS)社 中国・広州レンズ工場見学ツアーの模様をダイジェストにお送りいたします。さらに、アジア最大級のメガネの展示会である上海「ISOF2025」にも参加させていただきました。
4泊5日の濃密な時間をダイジェストではございますがお送りいたします。少しでも雰囲気を皆さまにも感じていただければ嬉しいです!!ぜひ最後までごゆっくりとご覧くださいませ。
【移動日】
Day0
中国への出発が早朝ということもあり、前泊のために岡山桃太郎空港(OKJ)から羽田空港(HND)まで空路で移動します。ちなみに、岡山桃太郎空港には日本の三大庭園でもある後楽園のミニチュア版があり、岡山城と後楽園をセットで見ることができます。
約1時間ほどの空の旅で羽田空港に到着。何度訪れても羽田空港の大きさに度肝を抜かれます。第一ターミナル、第二ターミナル、第三ターミナルと国際線、国内線と行き先によってターミナルが異なる空港で、ターミナル内はまるでファッションモール並みの広さです。しばらく空港をブラブラと探索し、明日からの旅に備えホテルで早めの就寝です。
【出発】
DAY1

羽田空港〜広州空港
広州市内観光
早朝待ち合わせの場所まで移動し、今回参加される眼鏡店様ならびにZEISSジャパンのスタッフ様と合流。搭乗手続きなど済ませ、しばらくラウンジでしばし待機します。
チェックイン、セキュリティーチェックと順調に進み、予定通りに搭乗。いざ広州空港へ飛び立ちます。約5時間のフライトです。時差は1時間のため時差ボケの心配はありません。
広州市は日本で言えば沖縄の八重山諸島より少し南側、北回帰線のやや南に位置し、広東省の省都で、華南地区全体の経済的中心でもあります。上海、北京に次ぐ中国第三の都市で、夏は最高気温が30℃を超え、月に300ミリ弱の降水があり高温多湿となるため、非常に蒸し暑く感じます。冬は最高気温が20℃前後で降水量も月30ミリ前後と乾燥します。人口は1億2千万人、何と日本の総人口と変わらないとの事でした。マンゴーやライチ、バナナなど暖かい気候で育つ果物も有名で一年中お花が咲いていて一年通して過ごしやすい地域です。到着した日も過ごしやすい晴天の日でした。
広州空港到着後、まずは中山記念堂に向かいます。
中山記念堂(チュウザンキネンドウ)
孫文または中山記念館は、中国の広東省の省都である広州にある八角形の建物です。ホールはLuYanzhiによって設計され、孫文を記念して地元および海外の中国人によって調達された資金で建てられました。
中山記念堂は八角形の独特な宮殿式の建築で、民俗風情に満ちております。外観は雄大で、内部の構造もしっかりしています。上部は全て鉄筋コンクリートで建てられ、屋根は青い瑠璃瓦が用いられました。ロビーは柱が一本も見えず広々としています。実は柱はあるのですが、壁に隠されています。合わせて8本の柱があるので、建物や八角形の屋根をしっかりと支えてます。

力学と音響学の二つの特徴が巧みに形成されています。ロビーに柱が見えないことと、ロビーの上部が30メートルもあるのにスピーチをする時、マイクを使わなくても音が隅々まで響き渡る上にこだまもおこりません。この様な建築物を機材が発達していない時代に建てた方々に尊敬の念を抱かざるを得ません。
一息ついた後次の観光地へ向かいます。
沙面(サメン)
広州を流れる珠江の中州。明代に華節亭が置かれ、外国商船が入港する際の埠頭だったそうです。1861年から約90年間にわたりイギリス人とフランス人の居留地となったことから洋館が立ち並ぶ欧米風の街並みが見られます。
随所にお花が咲いており、スターバックスも街並みに自然と溶け込んでおります。
珠江は、長さは2,200kmで流域面積は409,480平方kmに及び、長江、黄河、淮河などに次ぐ大河であり、流域面積は長江に次ぐ中国第二の広さを誇るだけありとてつもなく広いです。
広州の歴史を感じさせる初日となりました。明日はいよいよメインのZEISSレンズ工場です。
【工場見学】
Day2
中国2日目はメインのZEISSレンズ工場見学です。
まずは会議室にお通しいただき、中国広州の工場の歴史についてのお話を伺いました。
【ZEISS】
1846年、カール・ツァイス氏が顕微鏡工房を開設したことに始まるZEISSの歴史。ZEISSの顕微鏡が市販されると、細菌学者のロベルト・コッホがそれを使用し結核菌やコレラを発見したのは有名な話です。以降、光学技術にさまざまな革新をもたらしており、1893年には、今日の双眼鏡の原型となったプリズム式双眼鏡を開発。また、ツァイス最初のカメラレンズ「プロター」の設計に用いられた“ルドルフの原理”は、その後のカメラレンズ設計の基礎となりました。そして1912年には、近代眼鏡レンズの出発点となる「プンクタール」を開発。1981年には世界で最初のフリーフォーム技術を、2000年にはオーダーメイドの累進レンズを開発するなど、レンズの製法、設計、コーティング、さらには測定機器に至るまで革新的な製品を次々と生み出しています。
入ってすぐ、カール・ツァイス氏のモザイクアートが飾られていましたが、社員ひとりひとりの顔写真で作られていました!
ZEISSの工場は大小含め世界で30工場ほどございますが、その中で今回伺った広州工場はZEISSの中でも世界一の規模を誇る、そして、最も新しい工場となっております。
工場見学の前に、まずは展示スペースを見学させていただきました。
入口から中に入ると、「目」を象ったように続く円形が印象的な空間が広がります。
ZEISSは、光学および光電子工学の分野で事業を展開する、世界トップクラスの技術を誇る企業であり、特にここ中国国内においては、光学レンズの知名度がNo.1。その認知度は78%にも達しており、これはドイツを上回る数値となっています。
ZEISSでは、革新的なソリューションの開発・生産・販売を展開しています。眼鏡レンズ、カメラレンズ、双眼鏡など、消費者向け製品だけでなく、半導体の部品製造に使われる「リソグラフィー光学界」の代名詞として世界中で知られているのです。対象分野として、工業用計測、品質保証、ライフサイエンスや材料研究用の顕微鏡検査用ソリューション、眼科の診断・治療用医療技術ソリューション、マイクロサージェリーなど多岐にわたります。
有名なハリウッド映画の2/3がZEISSのカメラで撮影されていたり、
ダーウィンが手紙で顕微鏡を依頼したりなど、数々の逸話も教えていただきました。また、ZEISSのレンズを使用した顕微鏡では、ノーベル賞を36名が受賞するなどの功績も。
展示スペースで歴史や背景を一通り見学させていただき、いよいよ工場見学です。工場の入り口では、ドイツからの贈り物だという、ドイツの首都ベルリンの象徴であるベルリンベアが迎えてくれました。
写真撮影禁止の工場では、レンズが完成するまでのプロセスを実際に見ながらご説明いただきました。
1. 【準備/Aping】
メガネレンズの製造工程は高度に自動化されています。眼鏡店からZEISSにレンズの注文が入るとオーダーメイドのレンズ設計が行われ、必要なデータが準備されます。そして、各製造工程にバーコードが割り振られ、リアルタイムにデータが読み取ることで適切な工程へと進みます。度数に応じた半完成レンズが自動で倉庫から選ばれ、装用者に最適な度数へ仕上げるため、ZEISSのフリーフォームテクノロジーを用いて裏面を加工。自動でトレイにセットされたレンズはベルトコンベアに乗り、各ステーションへと運ばれながら加工され、最終的に2枚のレンズとして完成します。
2. 【ブロッキング/Blocking】
次に行われるのはブロッキング工程です。ここでは、レンズ表面に保護コーティングを施します。半完成レンズを専用のブロッカーに装着し、加工時に安定して固定されるようにします。
3. 【荒削り/Milling, Turning】
ブロッキングを終えたレンズは「5軸CNC加工機」を使用し、約90秒で装用者に最適な形状と度数に仕上げられます。1分半の間に3つの異なる工程が実施されます。まずはレンズを荒削りし、次に大まかに形状を整え、最後に天然ダイアモンドを用いて何万点もの箇所を加工します。
4. 【研磨および刻印/Polishing, Engraving】
研磨工程では、光学的な特性を維持しながらレンズ表面をなめらかに磨き上げます。これにより、後のコーティング処理をより効果的に施すことが可能になります。また、ZEISSのレンズにはブランドの証として、レーザーによる微細な「Z」マークが刻印されます。これは品質保証の証であり、視認しにくいながらも重要な印です。さらに、後の加工やフィッティングとセントレーションに使用されるスタンプも押されます。
5. 【ブロッキングの取り外しおよび洗浄/De-Block Tape, Cleaning, Auto Mapping】
この工程では、レンズをブロッカーから取り外し、徹底的に洗浄します。ブロッキング時に使用した合金は約50℃で溶けるため、お湯に浸してレンズから丁寧に分離します。ブラシと複数の洗浄液、そして超純水 (特別丁寧に処理した水) を使用し、レンズからあらゆる汚れを取り除いてコーティングに備えます。洗浄後は温風で乾燥させ、次の加工ステップへと進みます。環境への配慮も徹底しており、使用した合金などは回収・再利用され、水も環境に優しい方法でリサイクルされています。
6. 【染色/Tinting】
カスタマイズの一環として、レンズを染色することも可能です。プラスチックレンズは専用の染色液に浸し、ガラスレンズは金属酸化物の層を重ねることで染色します。プラスチックレンズには、人間の健康および環境に一切の危険を及ぼさない織物用の染料が使用されます。この工程には高度技術が求められ、ZEISSの豊富な経験が正確な色再現を実現しています。
7. 【コーティング/Hard Coating, AR Coating】
製造プロセスの最終段階では、レンズの耐久性や視認性を向上させるためのコーティングが施されます。レンズの傷つきにくさを強め、天気の悪い日もクリアな視界を楽しめるよう不快な反射を抑え、運転やPC作業時の快適性も向上します。埃の付着を防ぎ不快な反射を減らすほか、運転時やパソコン作業などに対応した数々の機能性を提供します。ガラスレンズと異なり、プラスチックレンズはそのままでは傷つきやすいため、ZEISSでは適切なハードコートが必ず施されます。こプラスチック素材の種類およびレンズの厚さにより、特別にカスタマイズされたラッカーが使用されます。超音波洗浄の後は、今度は反射防止膜を真空蒸着法で塗布。最新のレンズは9層まで重ねたコート膜の層を形成し、最後のコート層でレンズ表面をスムーズに仕上げ、埃や水滴を付きにくくします。
8. 【品質保証/Full Inspection, Ink Mark, Branding】
レンズが完成した後、ZEISSの厳格な品質基準を満たしているかを徹底的に検査します。
• 目視検査 – レンズ表面に傷や異物がないか
• 機械検査 – 度数、軸、円柱、厚さ、設計、直径などが仕様通りか
すべてのテストに合格したレンズには、ZEISSの品質保証の証である「Zマーク」が刻印されます。また、ご希望に応じてイニシャルを刻印することも可能です。
9. 【枠入れ/CEF Packing, Delivery】
通常、レンズをフレームに組み込む作業(枠入れ)は眼鏡店で行われますが、ZEISSでもオプションとして対応しています。レンズの適切なフィッティングは視力矯正の精度に直結するため、ミクロン単位の精度で加工・装着されます。最終チェックを終えたレンズは、厳重な梱包を経て、店舗やお客様のもとへ届けられます。
およそ17にも及ぶ工程を経て、私どもの元まで届けられるレンズ。刻印の部分は名前や好きな言葉など入れることが可能となっており、なんとQRコードの刻印と読み取りも可能とのことでした!
生産においてほぼ機械化されており異常が無いかはモニターを通じてチェックされます。各工程にモニターが付いており随時チェック。異常があるとブザーが鳴り、即座に待機のスタッフが駆けつけるシステムとなっています。最深部には全ての各工程をチェック出来るモニターが掲げられており、異常が無いかをチェック。21時間で出来上がりまでの70%が仕上げられ、48時間で出来上がりの97%が仕上がります。各工程、ほぼ機械化する事で出来上がりまでのスピードを上げ、更に24時間体制で稼働させる事で生産性をアップ!人の手により最終チェックが入り、完成です。
使用している加工機はドイツ製で、どこのZEISSレンズ工場で制作しても全て同じクオリティーで制作する事が出来るメーカー、まさにMADE IN ZEISS。そして、広州のZEISS工場で働かれているスタッフの皆様は、仕事に対して情熱と誇りを持って取り組んでいる事がヒシヒシと伝わって来ました。
一通り工場を見学した後は工場内にある食堂で中華風ランチをいただきました。その後は上海に移動するため、再度広州空港に移動です。
【上海】
上海市は長江河口に位置し、長江流域にある都市で、中国の直轄市です。世界を代表する国際都市の上海は、近未来的なビルが建ち並ぶ浦東から西洋文化を感じさせる外灘、中国の古風な街並みが残る朱家角まで、多様な姿を楽しめる都市。広州の温暖な気候に比べ上海は日本と同じ真冬でした。最高気温10°を下回る温度でめちゃくちゃ寒かったです。
ZEISSの工場を拝見し、規模の大きさや生産の速さなど驚かされる事ばかりでした。明日はアジア最大級の眼鏡の展示会SIOFです。
DAY3へ続きます。
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最後までお読みくださり誠にありがとうございました。
皆さまいかがでしたでしょうか?
ぜひこの機会にこれからのメガネ選び・サングラス選びのご参考にもしてみてくださいね。
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