MEGANE ROCK
岡山眼鏡店10周年別注モデル
Blowfish 10TH
¥35,200 (TAX IN)
『まん丸が苦手な方でも掛けやすく親しみやすいカタチに』という想いから誕生したVECTOR014。裏表でカラーが異なるラミネート生地を採用。正面からはやや赤みがかったグレーに、斜めからは内側のブルーが際立つ二重色になっています。モデル表記には特別にVECTOR 014の前身である“blowfish”を復刻。“10THAnniv.”を雨田氏にハンドライティングで彫っていただきました。
10 Questions デザイナーへ10の質問
10 Questions
雨田大輔氏 Designer
岡山眼鏡店の印象は?
MEGANE ROCKはWEB販売を行っていないため、お客様と直接やり取りする機会はほとんどありません。
いち作り手としては、購入者との架け橋となる存在が眼鏡店だと考えています。特に良いお店というのは、店頭での買い物が楽しいものです。実際に顔を合わせたり、商品を手に取っていただくことで、その魅力を実感してもらえる場になります。そうした意味で、眼鏡店の存在は非常に大きな役割を果たしていると感じています。これからも、岡山眼鏡店にはそういった部分で強い架け橋であってほしいと願っています。
ブランドを始めたきっかけは?
もともとは洋服屋で販売の仕事をしていましたが、ある時「売る側から作る側になりたい」という気持ちが芽生えました。そのタイミングで、眼鏡職人が1枚1枚手作りしている様子を紹介したポスターを眼鏡店で目にしたんです。それがいわゆる第一次職人ブームで、山本泰八郎さん、小竹長兵衛さん、井戸多美男さんといったセルロイド職人たちの仕事を知るきっかけとなりました。
そのポスターを見て「眼鏡って手作りなんだ」と初めて知りました。靴や洋服についてはなんとなく製作過程をイメージできていたものの、眼鏡については全く知識がなかったことに気づき、強く興味を持ちました。そこから金子眼鏡さんに直接連絡を取り、弟子入りを希望しました。その後、小竹長兵衛さんにお会いする機会を作っていただき、彼が作る眼鏡やその人柄、作品の仕上がりや美しさすべてに感銘を受け、「こんな人になりたい」と思ったことが、この業界に入る大きなきっかけとなりました。
デザインやテーマの発想源は?
例えば映画を観ていて、登場人物ではなくても、ちらっと映った人物の眼鏡がかっこいいと思えば、一時停止して写真を撮ったり、その形を元にデザインに落とし込んだりします。ただし、「デザインをしよう」と構えて行うことはあまりありません。そのため、1年間全くデザインしないこともあれば、何かひらめいたときに一気に書き上げることもあります。最近では、映画や古い洋書からヒントを得るだけでなく、落書きのように絵を描く中からアイデアを形にすることが増えてきたように思います。
影響を受けた作品は?
たとえば現在展開している新シリーズ「VECTOR」の名前は、アニメ『怪盗グルー』のキャラクター「ヴェクター」に由来しています。セルロイドからアセテートへと素材を変更する際、たまたま目にした彼の「僕の悪さには意味と大きさがある」というセリフに、自分が新しい素材を使ってモノづくりを進める姿勢と重なると感じました。そういう日常の中で、ふと目にしたものからインスピレーションを得ることは多々あります。
大変な時はどんなとき?
納期が迫っているのに制作が進まないときや、飲み過ぎた翌日は大変ですね(笑)。ただ、自分がやりたいことを仕事にしているという実感があるので、多くのことは我慢できます。特に独立した当初は、リスクを覚悟の上で好きなことを選んだという思いが強かったです。ただ、2年目には在庫がなかなか減らない時期があり、「どういうのを作ったら置いてもらえるんだろう」と無意識に考えてしまったことで、「なぜ独立して眼鏡を作っているのか」という原点に立ち返ることができ、作りたいものを作るというスタンスを早い段階で確立できましたのもあると思います。
これからの展望は?
事業を広げることよりも、モノづくりをさらに掘り下げていきたいと考えています。眼鏡づくりにおいても、「常に新しいもの」「新しいデザイン」、「新しい全く違う素材」のように横に広げていくのではなく、今自分が持っている技術でゆっくり時間をかけて本当の1枚だけのメガネをハンドメイドで作ってみたいと思っています。また、再現性のない一点物を作ることにも興味があります。自由に手が動かせない、お願いする業者さんもいないそんな状況にならない限り、現在のペースでモノづくりを続けていくつもりです。
尊敬する人や目標とする人は?
尊敬とか目標というと違うかもしれませんが、誰の眼鏡が最も美しいかと問われたら、何年経っても間違いなく小竹長兵衛さんの名前を挙げます。自分の立ち位置はデザイナーではなく、現場の人間だと考えていることもあり、お金や効率を優先するのではなく、こちらの思いに応えてくれる職人さんたちに対して、強い尊敬の念を抱いています。
モチベーションの上げかたは?
眼鏡を通じて良い出会いがあったときに、モチベーションが上がります。使いたいなと思っていただけるのも、実際に使っていただけるのも嬉しいですし、「追加お願いします」といった依頼が来ると、「頑張ってくださっているんだな、自分も頑張らないと」と、応援してもらった気持ちになります。また、10年先も20年先も、続けていればこれからも新しい出会いが待っていると考えるとワクワクします。そうした未来への期待が、自分の原動力になっています。
マイルール
基本的に残業はしないことを心がけています。ただし、本当に追い込まれているときは、休日に少しだけ作業を進めることもあります。また、売れるものよりも、自分が身に着けたいと思えるものを作ることを優先しています。
お客様に伝えたいことは?
自分の作る眼鏡には自信を持っているので、「デザインしている」ではなく「作っている」と言えるのは結構大きいかなと思います。「眼鏡に思いを、眼鏡は出会いを」というキャッチコピーを掲げ、思いを込めて作った眼鏡が、旅立った先で誰かに選ばれる。その結果、新しい出会いが生まれる。このサイクルが自分にとって何よりの喜びです。たとえばSNSでタグ付けしてくださっているのを見かけることでも、眼鏡を通じてつながりを実感できてとても嬉しく思います。MEGANE ROCKを見つけてくれて、選んでくれて、ありがとうございます。
2014年からスタートした、デザインから製作まで全工程を一人で手掛けている雨田大輔氏によるブランド。福井で眼鏡産業が始まったころから、フロント、テンプル、磨きなどの眼鏡製作におけるほとんどの工程は現在でも分業で行われることが多い中、デザインから製作のほぼすべてを自身の工房で行っています。
一貫して作製できるということはデザインのイメージをそのままカタチにしながらも、そのイメージに近付けられるように、また、そのイメージの変更に対して、感覚的にも具体的にも修正ができるということ。アパレルでの経験を経て、「自分が身に着けたいもの、好きなものを作る」という雨田氏そのものがMEGANEROCKであるといえるでしょう。